2013年12月30日月曜日

2013への感謝、2014への構想

2013年が終わり、もういくつ寝ると2014年を迎えます。
そんな年の瀬に京都、伊勢を訪ねてきました。

クリスマスが終わり、大晦日を迎えるまでのこの時期は街がとても静かで、もちろん日本人の観光客は少なく、外国人の観光客が多く、なかなか不思議な数日なのです。



金閣寺にある当時のトイレです。足下には水が流れています。
それよりもこの屋根を支える木の組み方。柱も一本は竹です。その自由さに楽しくなります。


南禅寺三門。
回廊とロッジア。フィレンツェを思い出します。



都ホテルにある村野さんの桂水園。
こんな和風建築は普通は木だけを使ってつくられるのですが、ここではコンクリートと鉄を木と一緒にまるで知らんぷりでもしてるかのようにさりげなく使っています。これもまた自由なのでした。



そして伊勢。まだ真新しい檜が神宮の森の中で輝いていました。
考えれば考える程に深く分からなくなる、不思議な場所です。


2013年、どうもありがとうございました。
2014年、やりたいことは全てやるという気持ちで活動していきます。

みなさま、良いお年をお迎えください。
 

2013年12月17日火曜日

ビズー → 石岡邸

また一段と寒さが増してきました。我が家のキッチンのオリーブオイルが固まるのももうすぐでしょう。

さて、14日に尾道のビズーでお話会をしました。お店ができるまでの様子、いっしょにつくった職人さんたちとのつながり、解体ゴミのこと、使った材料、トイレと下水、エネルギーのことなどなど。写真を見ながらお話をしていていると設計者としてこれから考えなければいけない問題を改めて知ることができました。

家のことも料理と同じようにもっと自分で何とか考えてつくれるようになるといいですね。素材をしっかり吟味して、塩はきかるけれど出汁は丁寧にとか。もっともっとぼくにできることがあるはず。




















ビズーで美味しいランチをいただいた後、エネルギー親分のグローイングピース石岡さん、府中の石岡邸へ移動し、韓国のエネルギー事情と薪ストーブイベントの報告を伺いました。



日本は山が豊かで樹がたくさん生えている、だからその樹を間伐して、薪をつくって、それを燃やして暖をとる。という自然な流れで寒い冬を暖かく過ごせる工夫ができるといいなと思って、ぼくもその方法を探っているところです。

話は戻り、ビズーの建物はおそらく80年程前に建てられた木造2階建てです。80年前というと1930年代です。その頃世界では何があったのかと調べてみると・・・。

 1928 ----- 日本で最初の普通選挙、25歳以上の男子全てに選挙権

 1929 ----- 世界大恐慌

 1931 ----- 満州事変

 1933 ----- ナチスがドイツに誕生

 1936 ----- スペイン内戦

とそんな時代をこの建物は過ごしてきたのです。頭が下がります。長生きしてほしいですね。


2013年12月4日水曜日

改修ひとつ完了

10月から始まっていたトイレ周りの改修工事が一段落しました。
トイレといっても、洋式と男性用、それとは別に手洗いがあり、また廊下に面した外壁には出入り口も開けるという盛りだくさんの工事でした。

タイルだった床をフローリングにし、同じくタイルだった腰壁はペンキ塗り、上の壁は珪藻土で仕上げました。
タイルは目地に臭いと汚れがこびり付いて取れなくなってしまいますので、ピカッと改修してしまうことが一番気持ちよいです。

新しくなったことを忘れてしまうくらいに、今までそうであったかのように、すーっと体に馴染んで使っていただけるとうれしいですね。

この住宅では引き続きお風呂周りの改修工事も始まります。
古い建物を今の生活に合わせて使いやすく、明るく、広々と、寒くなく、快適にどんどん改修して生かしていきたいですね。

街中の、村中の住宅を改修しまくりたい気持ちです。



2013年10月28日月曜日

改修現場

先日トイレを改修した住宅の2期工事が始まりました。

ここは築30年余の木造2階建ての住宅なのですが、トイレが大用、小用の2つと、その外の廊下に手洗いがあるという贅沢なつくりです。当時はこんなつくりのトイレが多かったようですが、今では小便器を取り付ける住宅は滅多にありません。そこにあると男性にとっては便利なのですが、その分広いってことは掃除も大変で、設計する上でも掃除がしやすいというのは大きな問題ですね。それに最近は座ってする男子が増えてるとか、小便器はいずれ消えてしまうのでしょうか?


写真は外のデッキ部分につながる壁に穴を開け、扉を取り付けようとしているところです。夕方に現場に行ったのですが、まだサッシが取り付いてなく心配しましたが、帰る頃には無事に取り付けられ、壁を塞ぐことができました。5時になると暗くなってしまうので作業時間も少なくなる季節です。



2013年10月12日土曜日

ホームページリニューアル

数年前につくり、そのままあまり親切ではない説明不足、ぶっきらぼうだったホームページをやっとリニューアルしました。建築以外の仕事も載せたりして、ぼくの詳しい自己紹介みたいなページになるよう心がけました。

「構想と妄想」というページをつくってぼくが日頃構想、妄想してることも載せていく予定です(under construction)。
例えば福山の駅前を公園にしたり、芦田側のゴルフ場をもっと一般の人が遊べる場所にしたり、尾道の空き店舗を貸しギャラリーにしたり・・・。

どうぞご覧下さい。



2013年10月3日木曜日

さらに木工作業

先日の木工作業が楽しくて、またつくってしまいました。

今回はこどもの幼稚園のバザーに手作りのものを出すことになったそうなので、そのためにカッティングボードのような、鍋敷きのような、お皿のようなものを4つもつくってみました。
ジグソーを使って木を切るのはぼくがやり(庭の蚊の襲撃に耐えながら)、そのあとのヤスリ掛けとオイル塗りはこどもたちが喜んで、時間がかけて楽しんでました。

オイルはまず自然塗料でおすすめのAURO(アウロ)のNo,130番の白色を薄く塗った後に、オリーブオイルをしっかりと塗ります。アウロの塗料はオレンジの香りがして塗った後も気持ちがいいんですよ。

丸い穴に糸を通し、こどもが描いた家や動物のスケッチと青山印の紙を取り付けて完成!さて、どんな家族に使われることになるのか楽しみです。
















ただいまホームページリニューアルへ向けて作業中です。今のページは写真だけの構成であまり親切なページではないので、新しいのはもっと詳しく、分かりやすくを目指しています。ぼくのいろんな仕事内容も紹介しますのでお楽しみにしていてください。

2013年9月20日金曜日

木を削る

設計作業ばかりをしていると、自分でも手を動かしたくなります。
特に現場で大工さんや職人さんたちが次々にきれいな仕上がりをしてくれているのを横目で見てると、ついつい自分でも同じように何かつくれるんじゃないかと錯覚を起こしてしまいます。

今年の春先にフリーマーケットで購入した板が長らく切られるタイミングを待っていたので、今日は工作の日に。シグソーという曲線も切れるのこぎりを使い、器のような、ブーメランのようなものをつくってみました。
幅が40cm余、厚みも3cmくらいある堅い堅い木(樹種は分からず)なので、ノコギリも煙をあげながら、悲鳴を上げながらのカット。

何でもいい、何かをつくったり、そのつくるものを考えたりすることは本当に楽しいですね。

さて、これは何に使おうかな。


2013年9月17日火曜日

ビズーBISOU オープン!

6月に解体工事を開始して、この暑い夏の真っ盛りに改修工事をしていた尾道のお店がついにオープンを迎えました。
築70年、近所に住む74歳のおばあちゃん曰く「わたしの小さいときにはもうこの建物はあって、同級生のお母さんがアイスキャンディー屋をしょうたんよ」ということですので、もしかしたら歴史はもっと古いのかもしれません。10年以上空き家になっていて、半分傾いてるような(文字通り)、ある意味戦前のバラック建築ですが、幸いなことに使っている木材はこの建物の規模にしては立派なものが多く、十分に面白い空間に甦ったと思います。

梁や柱たちは天井や壁にずっと長い間隠されていたものですが、今回はその骨組みを見せたいという思いで設計をしたので、梁も柱も表に現され恥ずかしい思いをしてるかもしれません。木造の骨組みは当時の大工さんの思いが伝わってくるようでいろんなことを物語ってくれます。

今日はそのお店のレセプションにお邪魔しました。たくさんの人たち、こどもたちが集まって休日の夕方の静まり返ったシャッター通りが賑やかに。ともしびが灯っていました。

尾道市久保2丁目5−24
0848-38-9700




2013年9月12日木曜日

LED電球 調光可

LED、エネルギーのことを考えるともちろんLEDではあるのですが、光の色、心地よさ、美しさではどうにも好きになれず不満を持ちながら採用してきたLEDですが・・・。

今回お施主さんが探してきた電球はすばらしいです。
クリアー球でさらに調光器対応。
今までのLEDは調光器対応といっても反応悪く、明るさもまちまちで冴えなかったのですが、これは白熱灯と同じくらい完璧です。

ぼくは調光機能が好きなので、必要とある場所ではなるべく調光スイッチを付けるように設計するのですが、今回は設計した段階ではまだこの電球のことは知らず、LEDを採用するのであれば調光が機能を果たさないけれど、かといってエネルギーのことを考えると今更白熱灯という選択はないだろうし。近い将来、こんなLED電球が発売されたらいいなあと願っていたまさにそんな電球です。

建築家、専門家の間でもまだあまり知られていないのではないでしょうか。

コレは、おすすめです。

ライト・照明の専門店 beaubelle(ボーベル)
LED電球 BELLED ベルド クリア球  E26




2013年8月28日水曜日

こどもの場所を考える

モコモコの羊の毛を着た尾道のお店はもうすぐ完成します。
飲食店ですが、2Fは小さなこども連れでも気兼ねなく過ごせる客席にしています。

壁から半分飛び出したような丸い小屋、こどもしか入れないような大きさのこんな小屋もつくりました(つくってしまいました)。
床から70cmほど宙に浮いていますので、それを支える足は大工さんが倒木を見つけてきて、まるで動物の足のような形に見えるよう据えてくれました。エレガントです。

屋根はまだ貼られていませんが、段ボールを丸く切って、そこにこどもたちに絵を描いてもらったり、色を塗ってもらったりしたものをぺたぺたと貼って屋根にしようと計画中。クリスマスの頃にはもみの木を生やしてみたり。

こどもたちのあの輝く笑顔、たくさん見たいです。



さてさてこの面白い改修の様子はFacebookに詳しく紹介されていますので、そちらもご覧下さい。



そして、先日改修のお話で伺ったお宅にはこんな竹のドームが!
そこではこどもたちが山をかけずり回って遊んでいました。福山にもこんな場所があったとは知らず感心するばかり。

こちらの計画も楽しみです。



2013年8月14日水曜日

羊の毛を着た壁と天井

 築50年を超える木造2F建ての店舗への改修工事も佳境を迎えています。
今年の夏も暑いこと。大工さんもへろへろになりながらがんばってくれています。

先週には隙間だらけだった屋根と天井に断熱材を取り付けました。このモコモコが断熱材、ニュージーランドの羊の毛を使ったサーモウールという断熱材です。















今回はそのモコモコ感を表現したかったので、なんと仕上げ材で隠すこと無く、そのまま表しています。ダウンジャケットの中身のような、降り積もった雪のような、絹をまとった蚕のような、いずれにせよ夏には暑苦しい表情ではありますが、何とも愛嬌のある、まるで生き物のような仕上げです。















わたしにとっても初の試み。

もしこの建物が壊されることになっても、この断熱材は他で使うこともできるので、解体→ゴミにはならずにすむかな。


古い建物の改修を考えるとき、断熱は大変大きな問題。これからわたしの課題でもあります。

羊の毛を着た壁と天井、みなさんも見に来てください。


オープンは近い!

2013年7月26日金曜日

壁を塗る前に

色は勝負です。

色は心に染みこみます。

コレだっ!という色を出すために日々実験。こんなにたくさん塗ってしまいました。
それでも思いの色を出すのはなかなか難しいものです。



だんだんと違う色になってきたり、そうしたらはじめ思っていた色よりそっちの色の方が良く思えてきたり。いやいや、やっぱりはじめに描いた色を大切にしなければ。

今回は古い建物の改修で、数十年前の漆喰の上に下地処理をして塗るのでその質感も大切にしています。ペンキのように平らに、均一にならないよう、むしろ土壁のような存在感を、しかも軽く表現する。

ペンキだけだとどうしても均一に塗られてしまいますので、文字通り土を混ぜて質感を出してみるのはどうだろうかとひらめき、我が家の裏山から赤土を取って混ぜてみることにしました。

裏山から掘った「メキシコの土」















さてうまくいくでしょうか。
乞うご期待。

2013年6月20日木曜日

現場通勤運動

ただいまの現場は朝の人通りの少ない商店街を横切り、

電車が通ると体をかすめるような踏切を渡ると 、
 階段で、すでに写真が傾くくらいの疲労。
 お寺の境内を抜けてもまた階段。
おっと、大工さんを待たせてしまいました。


















足はガクガク、息はハアハア、たどり着いた先にはこんな景色が待っています。

尾道。













田舎での車生活は歩くことを少なくさせるので、少し離れた駐車場に車を止めてしっかり歩くこと。

人は歩かなければいけません。
人が歩くことによって、エネルギーが生まれ、街が生きてきます。

建築家も歩かなければいけません。
アルキテクトになるためにも。

2013年6月6日木曜日

ゴミ問題

改修の仕事はまずゴミの処理を考えなければいけません。
最近では分別も当たり前のようになり、見事なほど丁寧に、そして完璧に分別されてトラックに積まれた解体ゴミの姿をよく見かけます。

木材でも釘が抜いてあるもの、ないもの、燃やせるもの、燃やせないので埋め立てられるもの、特別な処理を要するもの、リサイクルできるもの。

今回の現場は築50〜60年のもうそれ自体がゴミになってしまってもおかしくないような建物。60平米程度のほんの小さな建物であっても壁をはぎ、天井をめくればそれはゴミの山になってしまいます。天井をめくればその前の天井が現れ、またそれも壊さなければいけません。以前の改修のときに、古いものを上から塞ぐように隠してあるので、元々の古い仕上げ材が次々と姿を現します。そう、50〜60年ぶりに。

今では珍しくなってしまった芯に藁を使った古畳は畑の肥やしになるため、因島で自然農をされてるうみかぜ草園さんに引き取っていただいたのですが、残念なことに有機JAS規格では認められていないらしく、そのまま行き場を失っているとか。畳に使われている残留薬品の影響だという理由らしいのですが、有機農業の畑に使えないような畳の上でぼくたちはゴロンと横になり、ベタッと座り食事をしているのでしょうか?

自然素材だと喜んでいる畳であっても農薬の影響があり、それが数十年後も残留している・・・。まるでセシウムやプルトニウムと同じような話が身近な素材でもあるのです。

気をつけなければいけません。

新しく使う材料はゴミとなる日のことも考えて選ぶ必要があります。



エアコンに使われていたこの銅管はグローイングピースの石岡さんが喜んで持ってかえられました。この銅管に冷水を循環させて、扇風機の前に置くと簡易な冷房になるという話です。実験の結果をぜひ聞いてみたいです。




2階の天井を取るとなかなか丁寧な下地が見えてきました。
普段は見えない下地といえども未来の人には見られてしまうことがあるので、いい加減な仕事はできません。

2013年5月24日金曜日

ああここもだ

蓋を開けるとあらららら・・・。

たぶん扉を付け替えたのでしょう。先に扉が腐ってしまったのか、それとも壁が壊れたのかは分かりませんが、壁の中の間柱はシロアリにやられてすっかすかです。 扉を小さくした部分の隙間には新たな材を差し込んであるのですが、なんともいい加減なお仕事で。
なんと壁がたわんでいます。
そしてこちらは屋根崩壊、雨漏りぴちゃぴちゃ。
屋根の上に登ってみると、樋はつまり、勾配はなく、水が溜まっている状態。そして片方の縦樋は増築された壁の中に隠されてしまっている。
月日を考えると仕方がないのかとも思うのですが。













しかししかし、何とかしてあげたいですね。こんな建物でも丁寧に手を入れてあげれば甦るものです。一般世間からは見捨てられたような建物でも、ゆっくりと息はしているはず。応急処置で適当に処置されたので、時間が経つとやっぱりそこがまた痛んでくる。家も体も機械もモノも同じなのですね。

壊して新しいものをつくるだけではないやり方というのがいろんなところで実践されています。そこからきっと何かが生まれてきます。今はそんな時代。


2013年5月13日月曜日

ジッソク!

雨の中のジッソク(実測)!
誰もいない古い建物をひとりで実測するのは結構怖いのです。床はふかふかして抜けるんじゃないかと心配だし、天井裏を除けば誰かが潜んでいるんじゃないかと懐中電灯を持つ手は震えるし、トイレなんて吸い込まれてしまいそうで怖い怖い。あれっ、汲取式?あと一歩が踏み込めずよく確認できなかった。

静けさの中でひとつひとつ寸法を測ってると頭の中にはだんだんとイメージが膨らんできて楽しいのですが、イメージと同時に現実的な問題も見えてきて困った顔になってしまうのも事実なんですよ。

雨の音がしとしと、部屋の中なのによく聞こえるなあと思ったら、やっぱり雨漏りしてました。看板建築の屋根部分、ちょうど瓦屋根との取り合い部分からしとしとぴっちゃんと。あっちゃ〜、こりゃ大変だ。















しかししかしそんな問題なんのその、今回のプロジェクトはとってもわくわくする計画なんです。場所は尾道、それはそれは古くて小さな建物を仲間を募ってお店に改修しようというもの。東京から福山に帰ってきて、ぼくがこれからやりたいと思ってる建築のひとつの実験にもなりそう。古いものを治すということも、仲間で治すということも、そしてエネルギーについても。

春らんらん。


2013年4月24日水曜日

廊下の床改修中

廊下の床がぶにゅぶにゅして今にも抜けそうなまま、お客さんには抜き足、差し足、忍び足で歩いてもらうようにお願いして、何とかごまかしごまかしなるべく宙に浮かぶように歩いていたものの、そろそろ限界かな。ついに床貼りを着工しました。

数十年前の合板フローリングは板と板の間に使われてる接着剤が経年劣化により剥がれてきてしまうため、どうしてもこのぶにゅぶにゅ状態になってしまいます。みなさんも経験ある方が多いのではないでしょうか?

床貼り替えの一番簡単な方法としては既存の上から仕上げの材料を直に貼ってしまうことですが、今回は他の部屋との段差をなくすためと、補強の目的もあり、まず下地用の合板を貼ることにしました。もちろん材料はユーホーで購入、自ら搬入!

右側の部分をスリット状に開ける計画
根太の位置を確認しようと既存の床を切ってみると、床下から涼しい良い風が吹いてくる。湿気も感じられないし、臭いもなし。おっ、これは夏に涼風を得られるのではないかと思い、一部にスリットを開けてみることに。ゴキやネズミ、虫たちまでも登ってこないようにネットを張る必要あるが試してみる価値あり。

日本家屋はこの床下の使い方をもっと考えると、古い家でもより快適に過ごせる改修ができるのではないかなということをここ最近考えているのですが。地面まで約50cm、この空間を使って冬には蓄熱をして家の床全体を暖めたり、夏は涼風を取り込んで冷房に使ったり、もちろんへそくりを隠したり、味噌も保存したり。屋根裏もそうですが、床下も開けておくにはもったいない空間です。

さて、今回の仕上げはフローリングを貼るのではなく、安価な合板を貼って塗装で仕上げてみようという計画。色は、素材は、質感は・・・ただ今検討中。

2013年4月15日月曜日

東北への一人旅

 3月の終わり、ちょうど東京の桜の満開に合わせたかのようにぼくは東京に滞在していて、思いもかけないお花見の後(それも毎年楽しんでいた駒場公園でのお花見)、数日の暇があったので東北へ行ってみることにした。東北は旅の途中に通過したことはあるけれど、時間をかけて見たという経験はない。まずは地図を眺めてその大きさと地理から頭に入れないと始まらない。


R-27沿いに建つ民家
2泊3日という短い時間なので、まずは平泉まで走り、遠野で曲り家をいくつか見て、山を越え釜石へ出てから仙台までは海沿いのR-45を南下するという計画。850kmの旅。










 平泉中尊寺。空腹もさておき足早に金色堂へ。教科書にも歴史書にも必ずといっていいほど登場する金色堂のあの写真。すくっと立つ巨木に囲まれたあの佇まいと軒の出、プロポーション、金色堂、金色堂・・・んっ、RC? えっ、ぼくが金色堂だと信じていたものは覆堂だったというのか・・・。RCの覆堂の写真を見てぼくは心躍らせていた・・・。嗚呼、何という恥ずかしき一級建築士。

白山神社能舞台, 1853
気を取り直して白山神社能舞台。こんな大きな屋根を軽々しく支える2本の柱とそこに広がる舞台。抜けてて、透けてて。












人首川と人首集落
遠野へ抜ける道中、ハッとして止まった人首という名の集落。川の方向へ切り妻の倉が建ち並ぶ風景。











南部曲り家千葉家住宅@遠野, 江戸末期
そしてはるばるたどり着いた南部曲り家千葉家住宅。まるで巨大な生き物のようにこちらに迫り来る迫力ある佇まい。そこに山があるみたい。二川幸夫さんの「日本の民家展」を見た後だったので特に興奮せずにはいられない。日本の『木の民家』

 遠野の夜はまだまだ寒く、風も強く、雪がちらつく。くるみもちが美味しい。






遠野ふるさと村

肝煎り家@遠野ふるさと村, 江戸末期
さて次の日、曲り家がたくさん移築されている遠野ふるさと村へ。背景の山と手前の木々と畑と、こういう風景を自然ととけ込んでいると表現するんだろうなあ。家族のように大切に育てた馬と同じ屋根の下で暮らしたいという思いから発展したL型平面の曲り家。馬への愛情が空間への優しさへと繋がる。優しいんだなあ、東北の人たちは。その優しさは曲り家だけではなく、雄大でゆったりとした山々、ゆっくりと流れる川、きゅっと固まった集落やぽつぽつ散らばった家々、そんな風景を見ているとふところの広さと優しさを感じずにはいられない。風土と人の関係かな。


 釜石、大船渡、陸前高田、気仙沼、南三陸、石巻と津波で大きな被害を受けた地域を通り仙台まで250km。津波の被害はここから北へも、ここから南へも広がっている。ぼくが通過した土地のほとんどはがれきがほぼ片付けられ、まるで造成地かなにかのような土地が広がっている。大きなダンプカーがひっきりなしに通る。


 杜の都仙台は、あのどこまでも延びているアーケードには人が溢れるほどの賑わい。久しぶりに訪れたということもあって、まるで外国にでも来たかのような感覚に陥る。せんだいメディアテークは羨ましく、寿司は美味。

 福山からいうとはるばる1300kmも離れた東北への旅。瀬戸内とは違う風土をいっぱい感じました。

大野どんの曲り家@遠野ふるさと村, 明治初期

幼なじみの看板屋さん

 福山は生まれ育った街なので工務店も屋根屋さんも設備屋さんも大工さんも、ほとんどの業種に同級生がいる。だから何かあるとまずはその友だちを頼ってお願いすることになる。大人になって一緒に仕事ができるなんてとてもうれしいことだし、昔遊びに行ってたお家や会社におじゃまするのも懐かしくて楽しい打合せなのだ。

 そんな同級生の中に小学校の頃から一緒にサッカーボールを追いかけた幼なじみの看板屋さんがいる。彼はぼくの周りでは珍しく絵を描くのが好きで、美大に進み、大学時代には展覧会のお祝いに青春十八切符を片手に駆けつけたこともあるし、ぼくの写真展のときには看板を描いてもらったこともある。もう30年以上の付き合いになるのかな。

 今日は外装のリフォームをお手伝いしたマンションの看板をお願いしに行く。チェッカープレートの階段と大きな作業台、万力、各色そろったカッティングシート。わくわくする空間。

 ちなみに今回は仕事を依頼してくれたのも高校の同級生。こうして友だちの輪がどんどん大きくなったり、たくさんできたりして、そこにいろんな重なりが発生していくと繋がりはますます広がる。福山市は人口46万人ほどの都市ではあるけれど、一人を介せばほぼだいたい繋がる関係ができてしまうという、大都市にはできない地方都市ならではの関がを築けるのも面白いことだなあ。

2013年4月8日月曜日

ただいま営業活動中

東京から広島県の福山市に移動し、ちょうど10ヶ月。はじめてむかえる春の季節。花が咲き、木々が芽吹き、鳥たちはさえずり、何と気持ちのよいことか。吐く息も凍るようなあの冬から脱出した喜び。

 しかししかし、ぼくの仕事の方は春爛漫と喜んでばかりはいられない状況なのです。設計の依頼がいくつかあり、よし来たっと意気込むものの、いつの間にか消え、また来たっとさらに意気込んだらまた消え・・・、ここはぼくの故郷なのだから誰かが仕事を任せてくれるはずと呑気に待ってるだけではがいけなかった。東京で設計事務所をしていたぼくに福山からわざわざ設計を依頼してくれた友たちは何とありがたかったことなのか。

 ここは東京ではない。まだまだ設計するという仕事そのものが知られていないし、設計事務所の役割も分かってないし、そもそも設計事務所に設計を依頼するということがほぼ選択肢にないような場所。そうか、そうだった、まずはそこから始めなければいけなかったのか。

 ということで一人でも多くの人にぼくの存在、青山修也建築計画の存在を知らせるためにチラシをつくりました。

●設計事務所=高い、偉そーなのではなく、金銭面では施主の味方となってコントロールできるし、楽しく一緒に設計もできるのです。

●素材やエネルギーのことに付いても、溢れる数あるものの中から何を選ぶべきなのか一緒になって考えていきましょう。

 大きな建物や新しい建物を設計するのはもちろんわくわくしますが、小さな設計やリフォームをいっぱいやって、たくさんの幸せをまき広めるというのも建築家としての満足度からいうと気持ちよい仕事なはずです。


 せっかくのこの美しき瀬戸内地方の住環境を少しでも快適にしていきたいと動きはじめています。