2014年12月30日火曜日

年の瀬の旅は金沢へ

恒例となっている年の瀬の旅、今年は金沢へ行ってきました。
雪が残っていましたが、天気にも恵まれ今年の良い締めくくりの旅に。


金沢市立玉川図書館(1978)。
公園と建物の関係にうっとりします。


















鈴木大拙館(2011)。
建築学生がたくさんいました。



金沢21世紀美術館(2004)。もう竣工から10年がたったとは。


こういう分かりやすくて、邪魔にならないサインはいいですね。




 出っ張り具合とせめぎ合いにも品があり。



来年もさらに幅を広げ、自分のやるべきことに力いっぱい取り組みたいと思います。

みなさま良いお年をお過ごし下さい。

2014年12月16日火曜日

薪ボイラー点火!

この寒波に遅れること数日、ついに薪ボイラーが点火されました!
何せ施工チームもはじめてのことですので配管、配水の仕組みに四苦八苦しながら、無事に床暖は暖かくなるのだろうかと不安に思いながら。

この薪ボイラーは焚き口がとても広いので長い木材でも、竹でもどんどん突っ込んで燃やすことができます。
今のところは廃材もたくさんあるのでこの冬の燃料は心配なさそうだということで、次々に木を焼べ燃やしてみます。






点火するとすぐに煙突からはもくもくと煙が吐き出され、この寒々しい空に煙はあたたかく、その下にある暮らしが見えてきます。母屋の手前にある小さな建物が今回新築したお風呂、洗面、トイレのある小さな水回り棟です。
床暖房の不凍液の温度も順調に高くなり、28度→32度→40度。モルタルの床も少しずつ暖かくなり、約2時間後には座ってもお尻が温かく感じあられる、ほっとする床になりました。床に座ってみて、みんなのお尻もほっ、みんなの気持ちもほっ、安心しました。



天窓からの明かりも成功したようです。古い建物は新しいものを入れても許容するだけの大らかさと包容力があります。

2014年12月12日金曜日

傾き補正中

さて引き続き因島の住宅、地盤の沈下により傾いた家をジャッキアップして水平垂直に戻す作業を進めています。
下の写真の隙間分、約6cm家が傾いていたことになります。

傾きを直すには基礎コンクリートの下に杭を打ち込み、それ以上基礎が沈まないような処理をした後、下がった部分の柱をジャッキアップして上げていきます。

持ち上げるものが巨大で重量もある家というだけで仕組みとしては単純な方法ですが・・・。


しかしそれはやはり熟練の腕が必要で、柱を引っ張ったり、叩いたり、押したりしながら数mmのゴザを調整していくのです。
 あっちを引っ張りながらこっちを上げ、そっちを叩きながらあっちを緩める、すると見事に水平垂直に建ち直ってくるのでした。



この作業中、ぼくは地震が来ないようにを祈ることしかできません。


そしてこちらは屋根を見上げながら悩む中島建設のお二人。

「この屋根を取って上をテラスにしたいって、またまた青山さんの要求はむずかしいの〜」と。

よろしくお願いします!


2014年12月11日木曜日

ほぼスケルトン

解体工事がほぼ完了し、スケルトン状態になった因島の住宅、やはり開けてビックリな事実がいくつか発見されました。

その1。
通し柱がコンクリートブロックの上に乗っているという事実!

さらにおそろしいことに解体してる方がハンマーで叩きながらコンクリートブロックを壊していて、それを現場監督が大慌てで阻止したということ。
一歩遅ければ柱が宙ぶらりんになっていたかもしれません・・・。



その2。
取ってしまおうを思っていた壁に筋交いがバッチリ入っているという事実!

1Fのその他の壁にはほとんど筋交いがないのですが、よりによってこの場所にだけ。
築40年の木造ですが、筋交いより貫(ぬき)の考え方なのでしょうか。


蜂の巣、ヤモリの巣に続き解体作業は何がでてくるかお楽しみであります。

2014年12月9日火曜日

ソーラーパラソル

福山には駅の北、お城の西に美術館があるのですが、そこの中庭は芝生がきれいに維持されていてとても気持ちが良い場所です。
樹々も定期的に剪定され、福山では唯一と言ってもいいくらい管理が行き届いている場所。

しかしそこは立ち入っても良いものか、遊んでも良いものか、犬の散歩くらいは許されるのか、通りぬけるだけならいいのか、美術館から見るためだけの庭のつもりなのか、どこかで監視されているようなどうも使い方のはっきりよく分からない、使い心地の悪い場所なのです。



そこで、美術館のカフェを外へ張り出すことでテラス席を設け、誰もが集える場所にしてはどうですかという提案。

テラス席には傘の部分をソーラーパネルで作ったソーラーパラソルをたくさん立てて太陽の光をいっぱいに浴びる。
その電力で噴水と照明くらいはまかなえるでしょう。
気持ちの良い場所は、その場所に入ってどんどん使いましょう。

















福山市のみなさん、尾道は動きが早くていいなーとか、倉敷はクラボーがあるからとか指をくわえてないでひとつでもたくさん人が集える場所、歩ける場所をつくることですよ。
商店街もまた然り。

街を楽しくするのは車ではなく人です、人、人。

人がもっともっと安心して歩ける街を。
ぶらぶらと散歩しましょう。


2014年12月1日月曜日

大収穫!

京都造形芸術大学<KUAD>の秋の収穫祭@尾道、大盛況で終えホッとしています。
「坂のまちのリノベーション」と題し、ぼくが尾道へ通いながら今ビンビンと感じているこのまちの現状、ますます加速される勢い、そしてこれからの可能性をお話した後、みんなでフィールドワークへ出かけました。

会場となった尾道商業会議所記念館の2F議場はうれしい満席、階段状の議席に人が並ぶ姿はこの場所が生き返っているようでまさにリノベーションの風景。

広島へUターンしてからは学生の方と触れ合う機会がめっきりなくなってしまったので、こうして面と向かって話しができてパワーをもらえるのはとてもうれしいことです。

フィールドワークで立ち寄った宝土寺。
住職さんが境内にある古い建物を大工さんと一緒に自らの手で雑貨屋に改修している現場、まさに現在進行中、最新情報。



懇親会はぼくが設計を手がけたビズーBISOUにて。
通りへ溢れるほどのこの賑わいはいいですね。
街へどんどんはみ出すべき。



参加していただいたみなさん、どうもありがとうございました。
引き続き<onomichi>にご注目を!

2014年11月28日金曜日

ほぼ竣工

茅葺の古民家の改修がほぼ竣工に近づきました。
あとは薪ボイラーの到着を待つばかり。

泥モルタルのキッチンも良い具合にひび割れもでき、土間の真ん中にドスンと構えています。
棚板も杉で優しい表情。

その向こうの居間の床はモルタル仕上げ。
グレーのグラデーションが美しいこと。

古い建具を元に戻すと家が急に息を吹き返したように感じました。


そしてこれは新しく作った五右衛門風呂。こんなにかわいらしい色の五右衛門風呂は見たことありません。ピンクも黄色も土の色。

2014年11月21日金曜日

週末は「私はストーブだ!」

明日11月22日(土)と23日(日)に府中市にある羽高湖サン・スポーツランドで「私はストーブだ」というイベントがあります。

手作り薪ストーブのコンテストやワークショップ、そして出展するお店では薪や炭で調理された料理が並びます。

田舎に暮らしていると、薪で暖をとったり、料理をしている人がたくさんいて、そんな人たちの暮らしっぷりはとても刺激的で、生きる強さと楽しさを感じるのです。


先日の「つむじ秋市」と同じように、このイベントでも配置計画を考えました。
会場はこんな感じで、野球もできるほど広くて気持ちのよい場所。











真ん中の火を囲んでテントとステージが並びます。
インディアンの集まりのような、アラスカのイヌイットのような、ジプシーたちのサーカス団のような、小学生のときにやったキャンプファイヤーのような、そんなことをイメージしています。

さてどうなるか。



2014年11月20日木曜日

さまざまな蜂の巣

先日地鎮祭を終えた住宅の解体が進み、躯体が姿を見せてきました。
躯体を見ると心踊り、ぼくの計画している空間がうまく施工できるかどうか、構造的には大丈夫だろうか、どのように古いものを残そうかなどいろんなことが頭をめぐり興奮するのですが・・・今日はそれよりもこのさまざまな蜂の巣の姿に驚かされました。

一つの住宅の天井裏にこんなにたくさんの蜂の巣が隠されているとは。
この巣で生まれ、育ち、旅立った蜂たちはかなりの数なのでしょう。


黒ずんでいて形が整っていないのは途中で放棄したから?



下側だけが崩れている。



筋交いを挟み込むように作られた蜂の巣。



もっとも状態の良い蜂の巣。
このひとつだけは残すことにしました。



泥か、モルタルを投げつけたような小さな蜂の巣。
蜂の種類が違うのでしょうか?

蜂の巣は蜂たちの家であり、集合住宅でもあり、生き物はみんなそれぞれの場所で生きているのだなあと実感しました。
なるべくお互い邪魔をしないように。

2014年11月9日日曜日

地鎮祭と見学ツアー

大安だった11月7日、見積もりを始めて5ヶ月が過ぎようとしている住宅がついに地鎮祭を迎えることができました。
地鎮祭ではあるのですが、この住宅は新築ではなく躯体を残したままほぼスケルトンにリフォームするので安全祈願祭のようなもの。
普通は更地に神棚を建てるのですが、今回は玄関先に神棚を建てみんなで神様に手を合わせました。

今年中に内部を骨組みだけにして、家の傾きを直すというスケジュールで進んでいく予定です。



そして古民家の再生の現場には何とバスで見学ツアーの方がこられました。

中古の住宅を購入してリフォームするか、今ある古い住宅をリフォームするか、それとも新しく建てるのかなど、それぞれの方々がいろんな方法を検討されているようでした。

この現場は古民家のリフォームというちょっと特殊な例ではあるのですが、こんなこともできるのだという参考になったのではないでしょうか。






















リフォームすることは新築ではできない面白みや可能性がたくさん溢れています。
その分、設計も難しいのですがそこは腕の見せ所。

地方都市でも田舎でもこれからはリフォームするという選択が増えてくると思われます。
古い家を甦らせる手助けがたくさんできますように。

小さな疑問も大きな夢もどうぞご相談ください!

2014年11月7日金曜日

菌を放つ

前回紹介しました浄化槽に菌が放たれました。
この砂利の上にムシロを敷き、そこにも菌がびっしりと繁殖して汚れた水を処理してくれるそうです。

菌の力!

先日噴火した御嶽山の山小屋にもこの浄化槽が設置されているそうなのですが、今は2mもの火山灰に埋まってしまっているとか。

京都から日本バイオテクノの方に指導に来ていただいたのですが、施工チームははじめての経験なので不思議だらけ。
みなさん興味津々で動いていただきました。

見ている方はちょっと心配・・・。


これがその菌です。

現場に着くと牛乳が4本置いてあって、誰が買ってきたのだろうかと不思議に思っていましたら、菌を活性させるために入れるための牛乳だったのでした。
これからは米のとぎ汁が菌たちの一番の栄養になるそうです。
ぼくは大学で農学部に所属していたので、浄化槽の仕組み、菌の話を聞いていると授業を思い出して大変興味深いものでした。


2014年10月31日金曜日

着々と追い込み中

さて一体コレは何でしょうか?
深さが2m近くある大きなお風呂を重ねたような物体が4つ。
土の中深くに埋められています。
船の素材としても使われるFRP製です。


何とこれは汚水浄化装置なのです。
それもバクテリアの働きにより汚水を分解処理し、その汚水を蒸発散によって土の中や空気中へ戻すという システム。

下水道の通っていない地域では合併浄化槽を使うのが一般的ですが、電気代は必要ですし、年に数回の汲取と点検に結構なお金もかかりますので、今回は数年に一度の汲取だけで、電気も使わないほぼメンテナンスフリーのこの浄化槽を採用しました。



そしてキッチンは見事に仕上げられています。
土が立ち上がったようないい色しています。

新しい試みが盛りだくさん過ぎなのです。


2014年10月29日水曜日

坂のまちのリノベーション

11月29日(土)に京都造形芸術大学の「秋の収穫祭」というイベントのひとつとして『坂のまちのリノベーション』と題し、特別講義を担当することになりました。

1時間ほどのレクチャーとその後はまちを歩きながらのフィールドワーク。

その準備のために尾道を歩いてきました。



カメラが傾いているのか、家が傾いているのか・・・。



土壁の上に板が貼られ、さらにはトタンで覆われ・・・
それがひとつずつ自然に剥がれ落ち・・・



左のピロティ部分の柱は重みに耐えきれず・・・
もしかしてはじめからスロープになっているとか・・・
















とまあぼくが「歴史的廃墟」と名付けた建物はそこかしこに、珍しくもなく建っているわけなのですが、しかしこうして写真に撮って家で見てみると宝のように面白く、貴重ですね。

魅力のあるまちです尾道。
最近は特にサイクリストがみるみる増えているのを感じますし、これからもっともっと増えるでしょう。

そんな坂のまちがどのようにリノベーションされているのか、もちろん建物はそうなのですが、ぼくはここで暮す人に焦点を当ててお話をしようとストーリーを練っているところなのです。

2014年10月27日月曜日

塗るという仕上げいろいろ

現場は間もなくの竣工を目指して追い込み状況。
この建物は現代の新築住宅のような気密性は全くなく、ですので断熱性能もほぼ期待できないくらい外と一体なのですが、それではさすがに寒かろうと、床暖房を採用しています。

化石燃料をなるべく使わないという目標がありますので、床暖房を暖めるためにはお湯を使い、そのお湯を温めるために薪ボイラーを使います。
普通はガスや電気を使って水を温めるのですが、薪(木を)を燃やして水を温めお湯にするという仕組みです。

さらに、暖められた床に蓄熱性を持たせることが床を暖め、部屋を暖めるためには効率が良いのではないかと言うことで仕上げを何とモルタルにしているのです。
タイルや石を貼っている例はありますが、モルタル仕上げというのは潔く、挑戦的でもあります。

冬のモロッコを旅していたとき、寒々しいモスクに靴を脱いで入ったら驚いたことに床が暖かく、身も心も温まったことを思い出しながら。



そしてキッチン、こちらもモルタル漆喰仕上げです。
まだ下地の状態ですがこれから仕上げられます。

キッチンの配置も壁際に追いやることなく、日当り良く、家の中心、土間の真ん中に鎮座している感じです。
 一番気持ちのよい場所で料理をしてもらいたいので。



それから壁。
いつの間にかこんな素敵な仕上げがなされ、しびれました。
もちろんこの稲はお施主さんが自ら育てられ、収穫されたばかりの秋の恵みです。



今回は腕も良く、気もやさしい左官屋さんに出会えたことでいろんな場所で塗るという仕上げをすることができ感謝です。


2014年10月24日金曜日

HELLO, TREEHOUSE HILL!!

ぼくが暮す広島県福山市は人口47万人、広島県では広島市に続いて大きな地方都市です。瀬戸内に面しているので海の幸も豊富、北部には中国山地へ続く山が控えているので山の幸も豊富、最近の2つの台風がすーっと逃げたように自然災害も少なく、気候も穏やかでとても住みやすい環境、であるはずなのです。

しかし、車を中心に考えられた街になってしまっているため歩いて楽しい場所は少なく、公園と名のつく場所はあるけれどそこはぼくが想像するような公園ではなく、適当に樹が植えられ、延びたら切られ、適当な遊具が置かれ、植えられた芝は養生シートがむき出しになり、噴水には藻とゴミがはびこり、水もドロドロになった石積みの池があり・・・と、まあとても憩えるような状況ではなく、むしろ殺伐とした印象をいつも受けているのです。


この広い公園の中心にはたくさんのバラが植えられた丘があり、手入れはされているのですが、バラが咲くのは一年のうちほんの数週間だけです。それ以外の時期はいつもガラーンとまさに刺々しい丘なのです。

そしてバラが咲いてる時期は早朝から農薬散布、散布、散布!!!
そんなに虫たちを殺さなくてもいいのでは?

バラの花に顔を近づけて「あ〜いい香り〜」ってやってるのも実は危険だったり。



そこで考えてみました。

<TREEHOUSE HILL ツリーハウスの丘>

大きな樹をたくさん植えて、その樹にはいろんな形をしたツリーハウスをつくり、大きなブランコを吊るしたり、樹の上を通り抜けるような橋を巡らせたり、回るすべり台をつくったり、ハンモックを吊るしたり、小さなカフェがあってもいいじゃないですか。

何よりこどもがいっぱい楽しめる公園、もちろん大人もわくわくするような公園にしたいですね。




福山の環境をもっともっと活かせばとっても住みやすい、気持ちのよい、やさしい街ができるはずなのです。可能性は十分あり。

ぼくが大好きなルイス・I・カーンという建築家の言葉をいつも胸に。

"A city should be a place where a little boy walking throug its streets can sense what he some day would like to be." 
「都市とは、その通りを歩いているひとりの少年が、彼がいつの日かなりたいと思うものを感じとれる場所でなくてはならない。」

2014年10月13日月曜日

竹と土の壁

かつて日本では家の壁をつくるのにまずは竹を割いてメッシュ状に編んだ竹木舞(たけこまい)というものをつくりそれを柱と柱の間に組み立て、そこに土を練って団子状にしたものを詰め込んで隙間をふさぎ、その上にもう一度土だったり漆喰だったりを塗ったり、板だったりを貼ったりして仕上げていったものです。

ほんの100年前、いや50年ほど前まではそれが当たり前で、だから職人さんもたくさいました。

僕の住む築40年の家も外壁部分の下地は全て土です。

しかし今ではそのつくり方はむしろ高級な構法で、ぼくも今までそんな家を設計する機会はありませんでした。

今改修中のこの古民家は一部土壁が崩れてしまっていたのでその部分を補修してもらっています。
そしてこの竹木舞の美しさにやられました。
隠してしまうのがもったいないくらいの美しさ。
長い外国旅行から帰ってきて、久しぶりに味噌汁を飲んだときのような心の奥へ染みる感覚。

これが正しいつくり方なのではないだろうか。

竹も土も近くで手に入る材料、燃えてしまったとしても害はなく、朽ち果てたとしてもいずれ土に還ります。



そして五右衛門風呂のその後です。
レンガはさらに積まれ風呂釜の回りを固めていきます。