2016年3月29日火曜日

窓を開けよう

建物の中に居ながらにして空が見えるというのはとても気持ちがいいものです。
スカッと広がる青い空、流れる雲、ときには飛行機が横切り、月の輝きも感じられ、流れ星が見えたり、UFOが現れたりして!!!
だからいつでもぼくはどこに窓を開けてやろうか、どこから光を入れてやろうかと少しは無理をしてでも考えずにはいられないのです。

ただいま改修中の住宅は、最も日当たり良く気持ち良いはずの南側に車庫が取られ、室内には全く光が届かないつくりとなっていたので、その車庫の天井を取り、屋根に大きな天窓を3つも付けました。

そうすることでなんと気持ち良いこと。3月でも太陽の光が部屋まで届いているではないですか。大成功!




車庫だった部分。
ここはデッキを敷いて屋外のような室内のようなサンルームに変身します。



LDKからの眺め。
大きな引き違いのドアの上にガラスの欄間もつくって、より光が届くように。



改修前の駐車場の様子。



GW前には引越し予定、追い込み中。

2016年3月1日火曜日

復習と予習の旅

わたしの師匠は鈴木 恂という人ですが、その師匠にあたる吉阪隆正という人の展覧会が東京の国立近現代建築資料館で開催中、行ってきました。

みなでつくる方法 吉阪隆正+U研究室の建築
DISCONTINUOUS UNITY




2002年、2004年に行われた展覧会ではわたしもCDをつくったり、年表をつくったり、ウェブサイトをつくったりと大変な思い出の一つなので今回も見ない訳にはいかないのです。

会場の中心に設置されているのは油土でつくられた巨大な模型。



しっかりと手すりも握りました。




そしてその夜は八王子にある大学セミナーハウスでシンポジウム。
鈴木先生やU研究室の方に加え、懐かしい先生方にもたくさん会うことができてもうそれだけで来た価値がありました。
まるで学生時代を思い出すようなその雰囲気、わたしはこの雰囲気から多くのことを学んだのです。

これが大学セミナーハウスの本館。
大地に楔を打ったように逆三角形の建物。




国際交流館と本館の遠景。
建物が生きてるみたいで動き出しそうなのです。




こちらは鈴木先生のアトリエ、AMSの引き手。



大学セミナーハウスで今まで学んできたことを復習した後は、東京の中心へ戻りわたしが非常勤講師をつとめる京都造形芸術大のシンポジウムに参加してきました。

ここでもちょうど大学説明会があったことも重なり、予期せず懐かしい先生方に会うことができて何とラッキーなこと。
そして東北との関係もできて今後の動きが楽しみなのです。

瀬戸内の環境を存分に活用してこどもたち、大人たちの遊び場をつくろうという動きをこれからはじめようとしていまして、なのでこのシンポジウムは未来への予習となったのです。

未来を考えることの中心は「こども」なのだという確信の旅でもありました。


2016年2月19日金曜日

縄文式ワイナリー

岡山の西の端、瀬戸内から車で30分ほど山を登った町でこんなプロジェクトも始まりました。
ワインですよ、ワイン。
ワインをつくるのです。
しかもその町はすでにワインのバリバリの産地でもあるのです。

ゲーリー、ヌーベル、ホール、ザハ・・・みなさんワイナリーを設計されている。

でもわたしが設計するのはおそらく世界で最も小さなワイナリー。

しかも縄文式を妄想中という。

今年の秋の実りを目指しています。


【パン工房の裏にて】2016年2月12日、HINOMOTO某所。友人の建築家がはるばる海を越えてやってきた。彼は着くなり、ここに〈ワイン塚〉の可能性を指摘した。HEISEI...,SHOWA...,or JOMON?ぼくたちは未来の発掘調査を開始した。
Posted by 「ワインの街・井原」をつくろう! on 2016年2月12日

2016年2月8日月曜日

人の流れ

ここ最近の一番大きな仕事、正確には一番多くの人に見てもらえた仕事は「おのみち家族の台所」というマーケットのレイアウト、会場デザインという仕事です。月に一回、第一日曜日に商店街の広場で開催されるこのマーケット、ぼくもお客さんとして毎回楽しんでいたのですが、出展者の増加と来客の増加で会場が手狭になり、どうにもなりません、なんとかできないのでしょうかと相談を受けたのがもう一年以上前のこと。それからしばらくは様子を見ていたのですが、人はあふれんばかりに増え続け、居場所もないくらいになってしまったのでついに動くことになりました。そして2015年の10月から新しいレイアウトに変わったのです。

出展者数は30〜40店舗、野菜、柑橘、パン、お菓子類、飲食に雑貨、子ども向けワークショップなどお店の内容は多彩です。このマーケットはオーガニックマーケットを基本の考えとして持っているのでお店の意識も高く、お客さんもそれにひかれて毎月を楽しみにしているのです。

そしてここに行けば仲間に会える、ここに行けば面白い出会いがある、そして安心して美味しいモノが楽しく買えるという、まさにコミュニケーションの場でもあるのです。それがとても重要な意味を持っていると思います。











ぼくがやったことはといえば、テントの大きさを分けて配置を揃えたり、回転させたりして調整したこと。それにより人が歩きやすい流れをつくったこと、また人の佇む場所、食べる場所、おしゃべりする場所をつくったこと。たったそれだけのことなのですが、その効果は予想以上に大きく、見ていても面白いくらいに人の流れが明らかに変わりました。












おのみちを代表するオーケストラ(?)、ほにゃらら楽団。











「わたしはストーブだ」というイベントをされている石岡さんにはポケットロケットベンチという薪ストーブであたためるベンチをつくってもらいました。

















こどもたちの遊ぶ場はのぶえさんが力を発揮してくれています。




人間も動物、生物なので、テントの配置が少し変わっただけでも無意識のうちに足がそちらへ向いたり、ぐるぐる回ってみたり、また戻ってみたり、そういう動きをするんだなというのを実感しました。「空気感」とか、「空間感」というものを敏感に感じているのでしょう。

家や建物を設計するだけが建築家の仕事ではなく、ましてかっちょいいデザインのものを設計するのが建築家ではなく、人の動きやすさや、生活しやすさ、気持ち良さを設計することが建築家の仕事であり、職能であると身に沁みて感じたのでした。

このマーケットはまだまだ新しい試みに挑戦していく予定ですのでお楽しみに。

次回は3月6日(日)開催。ぜひ覗きに来てみてください。
場所はココ!

2016年2月3日水曜日

節目

本日2月3日は節(ふし)を分けるという節分の日、節目の日。樹の幹のごつっとした節、斧を振りおろしてもそう簡単には割れない節、節からまた幹が枝分かれして伸びるのです。

さてfacebookでの更新に任せてしまい、このブログはすっかり滞っていますがそれは良くない、しっかりと伝えていきたいと思う節目の日。

その間のWORKSをいろいろとご紹介します。

色違いの3枚の扉の向こうにはキッチン、洗面、トイレ、シャワーユニットが隠されています。住宅の2Fに水回りを追加するという改修工事。



















夏は日差しをさぎり、冬は日差しを取り込むというブリーズソレイユ。フランス人大工のシモンにつくってもらいました。




















2mmのステンレス板を継ぎ目なくシンクも一体で折り曲げ加工してもらいました。
私も使ってみたくなるような潔いキッチンをつくりました。
床にはコルクタイルを貼っています。



























キッチンストーブのある玄関小屋。
細長く、決して広くはない場所にこのストーブがデンッと構え、迎えてくれます。グローイングピースの石岡さんと左官の佐藤さんにつくってもらいました。




と、こんな感じで大規模な改修+小さな増築という計画が多いのでした。

2015年6月15日月曜日

因島の家の内部公開

先日無事に竣工しました因島の家の内部写真です。
改修を考えている方へ向けてのオープンハウスをしたいと頭の中では計画しているのですが、竣工、引き渡し、引越しというのはいつものことながら余裕がなくなってしまい、その時間が取れずバタバタとしてしまいます。

ですので写真だけでも見ていただいて参考になればと紹介いたします。

2Fの洗面、ミニキッチン、雨の日の物干し用の部屋。
天井を取り払い高くしたのでのびやかな気持ちの良い場所になりました。
朝起きて、明るい場所で顔を洗って欲しいという思いから。


和室。サッシの黒と、畳縁の黒が良いリズム。


2Fリビングのロフト空間。
バッテン筋交いは補強です。
既存の梁を利用して床を貼ったので天井高は取れませんでしたが、物置、ちょっとこもる場所としては十分利用できる隙間空間です。
ロフトは男心をくすぐるらしい。







そのロフトへ上るためのハシゴ。
それほど頻繁に上る場所ではないので一段目に腰をかけられるようにベンチ風にしてみました。



1F和室の障子。
桟を細く、障子の枠を正方形に近く、広くとるデザインにしています。
写真では分かりにくいですが壁は薄いグレーの漆喰を塗っています。






これが改修前の状態。築40年ですので、まさにその時代を象徴する作り方と仕上げ材。我が家と一緒とだと思われる方も多いのではないでしょうか。

2015年6月2日火曜日

因島では第1作目

因島で改修工事中だった築40年の住宅がついに、やっと竣工し、引き渡すことができました。
着工してから半年以上、設計を始めてからもかれこれ1年以上、新築よりも時間をかけて見事によみがえりました。
これぞ「新築そっくりさん」。

当初の計画では2階部分を増築してもっと大掛かりな設計をしていたのですが、最終的にはむしろ一部を減築するだけでほぼ同じ広さで仕上げることにしました。

広島に帰ってきて初めての大きな改修物件で、それも島でこの仕事ができたこと、大変感謝しています。

改修前の様子。
地盤の沈下による傾きあり、瓦も踏んだら割れるくらいの劣化。



外壁を取り土壁が出てきて裸状態にされつつあります。


サッシも取ってまさにスケルトン。
生まれたての鳥の赤ちゃんを見ているようです。




そして完成!



内部の様子は改めて紹介します。