これは古墳の内部だろうか、それともピラミッドの内部だろうか、はたまたアンデスの山奥の?
まるで棺かミイラをおさめるための空洞のような造形的で美しい形です。
いやいや、なんとこれは五右衛門風呂を暖めるための薪を炊く部分+煙の道なのです。
この空洞に薪をくべ、風呂釜を暖めるのです。
ぼくは思いました。
ユニットバスは確かにすばらしく機能的で、安心で、安価で、清潔で大変良い製品ではあるけれど、この空洞を見せられてしまうと心動かされずにはいられません。
レンガを積んで、土で固め、火の形、煙の流れを想像しながら形をつくりあげていく、その手の作業、手の跡は家をつくる上で、生活を考える上でとても大切にしなければいけない部分です。
毎日このお風呂に入る生活をおくればそれは身も心も優しく暖まることでしょう。
風呂釜は作業の邪魔にならないよう釣られていました。
鐘のようであり、それもまた愛嬌あり。
こちらはキッチン。
キッチンというより台所です。
これも漆喰で仕上げます。
土間の三和土の上にこの漆喰の大きな台所がドンッと構えるのです。