2016年2月8日月曜日

人の流れ

ここ最近の一番大きな仕事、正確には一番多くの人に見てもらえた仕事は「おのみち家族の台所」というマーケットのレイアウト、会場デザインという仕事です。月に一回、第一日曜日に商店街の広場で開催されるこのマーケット、ぼくもお客さんとして毎回楽しんでいたのですが、出展者の増加と来客の増加で会場が手狭になり、どうにもなりません、なんとかできないのでしょうかと相談を受けたのがもう一年以上前のこと。それからしばらくは様子を見ていたのですが、人はあふれんばかりに増え続け、居場所もないくらいになってしまったのでついに動くことになりました。そして2015年の10月から新しいレイアウトに変わったのです。

出展者数は30〜40店舗、野菜、柑橘、パン、お菓子類、飲食に雑貨、子ども向けワークショップなどお店の内容は多彩です。このマーケットはオーガニックマーケットを基本の考えとして持っているのでお店の意識も高く、お客さんもそれにひかれて毎月を楽しみにしているのです。

そしてここに行けば仲間に会える、ここに行けば面白い出会いがある、そして安心して美味しいモノが楽しく買えるという、まさにコミュニケーションの場でもあるのです。それがとても重要な意味を持っていると思います。











ぼくがやったことはといえば、テントの大きさを分けて配置を揃えたり、回転させたりして調整したこと。それにより人が歩きやすい流れをつくったこと、また人の佇む場所、食べる場所、おしゃべりする場所をつくったこと。たったそれだけのことなのですが、その効果は予想以上に大きく、見ていても面白いくらいに人の流れが明らかに変わりました。












おのみちを代表するオーケストラ(?)、ほにゃらら楽団。











「わたしはストーブだ」というイベントをされている石岡さんにはポケットロケットベンチという薪ストーブであたためるベンチをつくってもらいました。

















こどもたちの遊ぶ場はのぶえさんが力を発揮してくれています。




人間も動物、生物なので、テントの配置が少し変わっただけでも無意識のうちに足がそちらへ向いたり、ぐるぐる回ってみたり、また戻ってみたり、そういう動きをするんだなというのを実感しました。「空気感」とか、「空間感」というものを敏感に感じているのでしょう。

家や建物を設計するだけが建築家の仕事ではなく、ましてかっちょいいデザインのものを設計するのが建築家ではなく、人の動きやすさや、生活しやすさ、気持ち良さを設計することが建築家の仕事であり、職能であると身に沁みて感じたのでした。

このマーケットはまだまだ新しい試みに挑戦していく予定ですのでお楽しみに。

次回は3月6日(日)開催。ぜひ覗きに来てみてください。
場所はココ!